ナイアシンはビタミンB群の仲間で、植物性食品には主にニコチン酸、動物性食品には主にニコチン酸アミドとして含まれています。
ビタミンB群の中でも重要な役割を担い、エネルギー代謝をはじめ、皮膚や粘膜の健康維持など、体内で多くの働きに関わっています。
※ 本記事は、藤川徳美医師・中村丁次医学博士・五関正江歯学博士の著書を参考文献として作成しています。
内容の監修・推薦を受けたものではありません。
特徴と作用
- エネルギー代謝に不可欠な栄養素
- 多くの酸化還元反応に補酵素※1として関わる
- アルコールの代謝に関わる
- ビタミンC、ビタミンEの抗酸化作用を助ける
- 脂肪酸※2やステロイドホルモン※3の合成に関わる
- 皮膚や粘膜の正常な働きを助ける
- 神経伝達物質※4の代謝とも関連し、メンタルの健康に関わる
- DNAの合成や修復に関わる
- 脂質代謝に関わり、コレステロールや中性脂肪の調節に関わる※5
- 必須アミノ酸の一種であるトリプトファンから、体内で合成される
- 腸内細菌によって体内でも作られる
- 水に溶けやすい
※1 補酵素:体の中の作業員である酵素の働きを助け、体内の化学反応をスムーズに進める物質。
※2 脂肪酸:脂質を構成する成分の一つで、エネルギー源や細胞膜の材料になる。
※3 ステロイドホルモン:コレステロールを材料として作られるホルモン。性ホルモンや副腎皮質ホルモンなどがある。
※4 神経伝達物質:神経細胞間で情報を伝える物質。
気分や睡眠、食欲などに関わるセロトニンや意欲や意識、運動などに関わるドーパミンなどがある。
※5 ニコチン酸は、高用量では医薬品として血中のコレステロールや中性脂肪を低下させる作用があります。
ただし、医薬品としての使用には副作用への注意が必要です。
どれくらい必要?
18〜64歳の成人のナイアシンの摂取基準は、以下のとおりです。
| 厚生労働省の基準(推定平均必要量・推奨量) | 分子栄養学の参考値(最低必要量) |
|---|---|
| 推定平均必要量:男性13mgNE/日、女性9~10mgNE/日 推奨量:男性15~16mgNE/日、女性11~12mgNE/日 | 300mg/日 |
※「分子栄養学の参考値」の摂取量は、藤川医師の著書に記載された欧米のオーソモレキュラー関連書籍での摂取量を参考にしています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、ナイアシンについて、ニコチンアミドとニコチン酸で異なる耐容上限量が設定されています。
18〜64歳成人の耐容上限量は、年齢や性別によって、ニコチンアミドが250~350mgNE/日、ニコチン酸が65~85mgNE/日です。
一方で、分子栄養学では、耐容上限量を超える摂取が推奨されることもあります。
ナイアシンは、厚生労働省の食事摂取基準と、分子栄養学の参考値に大きな違いがあります。
分子栄養学の参考値には、厚生労働省が設定する耐容上限量を超える量が含まれています。
それぞれの基準の違いを理解し、安全性にも注意することが大切です。
不足するとどうなる?
- 皮膚炎: 日光に当たる部分に赤みや水疱などを伴う皮膚炎が起こる
- 下痢: 消化管の粘膜に影響し、下痢などが起こる
- 精神神経障害: 記憶障害や意識の変化など、精神・神経系の症状が現れる
過剰に摂るとどうなる?
- 嘔吐や下痢などの消化器系の症状
- 肝機能障害
- 皮膚の赤みやほてり(ニコチン酸を大量に摂取した場合)
サプリメントで摂取する場合は、摂取量や成分の種類に注意が必要です。
※ ニコチン酸を多量に摂取すると、「ナイアシンフラッシュ」と呼ばれる反応が起こり、皮膚の赤みやほてり、かゆみなどが生じることがあります。
多くは一時的な反応ですが、症状が強い場合は注意が必要です。
拮抗・相互作用・飲み合わせ
通常の食品から摂取する場合、特別な飲み合わせを心配する必要はあまりありません。
ただし、サプリメントなどから過剰に摂取する場合は注意が必要です。
藤川医師が紹介する必要量と摂り方
【必要量】
ナイアシン:2,000~3,000mg/日
【摂り方】
ナイアシン単体ではなく、ビタミンB群として摂取することを推奨しています。
【サプリ摂取例】
藤川医師の著書では、B50コンプレックス※6を1日2~3回に分けて摂取する方法が紹介されています。
B50コンプレックスを遅い時間に摂取すると、不眠につながることがあるため、できるだけ早い時間に摂取するよう勧めています。
※ 上記は藤川医師の著書に記載された摂取量・摂取例であり、一般的な推奨量を示すものではありません。
高用量のビタミンB群サプリメントを摂取する際は、成分や含有量に注意が必要です。
特に、ビタミンB6・ナイアシン・葉酸は、過剰摂取による健康リスクがあるため、摂取量に気をつけましょう。
※6 B50コンプレックスは、ビタミンB群を複数含むサプリメントです。製品によって成分や含有量が異なります。
iHerbなどの通販サイトで購入できます。
【補足:メンタル面での活用】
藤川医師は、メンタル面も含めた栄養療法の一環として、ナイアシンを用いる場合もあると紹介しています。
※ 栄養療法は医師の管理のもとで行われるものです。心身の不調が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
食品から摂るなら
ナイアシンは、肉類や魚介類、きのこ類などに含まれています。
また、必須アミノ酸のトリプトファンから、体内でも合成されます。
そのため、食品からナイアシンを摂るだけでなく、材料となるトリプトファンを含む、たんぱく質を十分に摂ることも大切です。
| 食品分類 | 食品 | 1食分のナイアシンの目安量 |
|---|---|---|
| 肉類 | 豚レバー | 1食分(80g):15.2mgNE |
| 〃 | 鶏むね肉(若鶏、皮つき) | 1/2枚(100g):15.0mgNE |
| 魚介類 | かつお | 刺し身5切れ(80g):19.2mgNE |
| 〃 | くろまぐろ(天然、赤身) | 刺し身6切れ(80g):15.2mgNE |
| 〃 | まかじき | 1切れ(100g):15.0mgNE |
| 〃 | たらこ | 1/4本(25g):13.5mgNE |
| 〃 | まいわし | 2尾(120g):13.2mgNE |
| 〃 | まさば | 1/4尾(80g):12.8mgNE |
| 〃 | ぶり | 1切れ(80g):11.2mgNE |
| きのこ類 | ひらたけ | 1/2パック(50g):5.5mgNE |
| 〃 | えのきたけ | 1/2袋(50g):3.7mgNE |
| 〃 | まいたけ | 1/2パック(50g):2.7mgNE |
※ 含有量が多く、日常的に取り入れやすい食品を中心に掲載しています。
効率よく摂るには?
食べ合わせ
【一緒に摂りたい組み合わせ】
アルコール代謝に関わるナイアシン:ビールとピーナッツ
ナイアシンはアルコールの代謝に関わる栄養素です。
中村丁次医学博士の著書では、ピーナッツにはナイアシンが含まれているため、ビールのおつまみとして食べると、二日酔い予防に役立つとされています。
【ナイアシンを効率的に摂れるおすすめメニュー】
- えのきだけのみそ汁
- 炒り鶏
- ぶりの照り焼き
調理・保存のポイント
ナイアシンは水に溶けやすい一方、比較的熱に強い性質があります。
そのため、炒め物や揚げ物など、さまざまな調理方法で摂取できます。
また、煮汁に溶け出しやすいため、、スープや煮物は汁ごと食べると、ナイアシンを無駄なく摂取できます。
摂取を意識したいタイプ
- 食事量が少ない・偏食がある人(特にたんぱく質、ビタミンB2・B6、鉄が不足しがちな人)
体内でトリプトファンからナイアシンを合成するには、たんぱく質に含まれるトリプトファンのほか、ビタミンB2・B6や鉄も必要です。
ナイアシンの合成をスムーズに進めるためにも、これらの栄養素を十分に摂ることが大切です。 - お酒をよく飲む人
ナイアシンはアルコールの代謝に関わる栄養素です。
アルコールを多く摂る人は、ナイアシンが不足するリスクが高まるため、十分な摂取を心がけましょう。
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参考文献・引用元(詳しく学びたい方へ)
この記事で解説した内容は、以下の信頼できる文献をベースにしています。
藤川徳美医師・中村丁次医学博士の著書など参考書籍
より詳しい内容や、それぞれの著者の考え方について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
すべての不調は自分で治せる[藤川徳美 著]
メガビタミン健康法[藤川徳美 著]
正しく知れば体が変わる!栄養素の摂り方便利帳[中村丁次 著]
栄養の基本がわかる図解事典[中村丁次 著]
ビタミン・ミネラルがよくわかる本[五関正江 著]
栄養素図鑑と食べ方テク[中村丁次 著]
データ引用・参照元
記事内の客観的な事実や統計については、以下の公的機関および専門データを参照しています。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」 | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
【ご注意】
この記事は、ビタミンに関する一般的な情報を提供することを目的としています。
病気の診断・治療・予防を目的としたものではなく、医師などの専門家による診断や治療に代わるものではありません。
栄養素の必要量や体への影響には個人差があります。健康状態や食生活に合わせて参考にしてください。
体調に不安がある場合や、症状が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

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